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XR/AR/VRについて 2/2

前回の記事では、XRやAI、Sensingなどの技術についてご紹介しましたが、今回は、前回を踏まえて、Avaxia Asiaでの取り組みについてご紹介します。

Avaxia Asiaでの挑戦 ―新しい技術領域への拡張―

研究や趣味開発を経て2024年2月にAvaxia Asiaに入社しました。最初の1年で取り組んだプロジェクトが、メタバースシステムの開発です。これまでの現実ベースのARとは違って、仮想空間がメインのVRの世界でした。

各フェーズでさまざまな機能を実装しましたが、代表例がアバター生成機能です。アバター生成のツールは世の中に多数ありますが、ビジネスユースの場合、デフォルメ調やアニメ調のアバターより、当人のリアルな顔が再現されているものが望まれます。

これを実現するため、写真からリアルなアバターを生成する技術について、論文や商用ツールの調査・研究に注力しました。ビジネスユーザーへの実用レベルの品質提供と開発効率の観点から商用ツールを活用することを選択し、正面と左右の顔写真だけで手軽にアバターを生成できる機能を実現しました。

またアバターは一度作って終わりではなく、メタバース利用中に服や髪形などを変更することもできます。これらの変更を低負荷でスムーズに行え、同じメタバース空間にジョインしている他のユーザーにもリアルタイムに変更が反映されるように、ロジックの実装を行いました。

私にとってアバター技術を用いた開発は初めてだったため、このメタバース開発を通してアバター生成技術やそれに関するAI手法の現状について学ぶことができ、貴重な経験となりました。

また、AR開発がメインだったこれまでとは異なり、VRでは部屋や背景なども3Dデータとして描画する必要があります。結果として描画コストがARより高くなるため、担当した各種機能が描画パフォーマンスへ与える影響を最小限に抑えるよう、ロジック設計をより丁寧に検討しました。

トレーニングVRの開発

Avaxia Asiaでの別の取り組みとして、VR技術の活用可能性を模索するため技術調査とプロトタイピングを行っています。

VRはARと異なり仮想空間を用いるため、場所を問わずさまざまなシチュエーションを再現できます。そのため、エネルギーや工場など弊社が強みを持つ分野において、現実では再現困難な特殊環境でのオペレーショントレーニングに有効です。

そこで、発電所のタービンのメンテナンスや、火災時の消火トレーニングVRの試作を行いました。ステップバイステップで手順をガイドし、体験者がそれを実行したら次のステップに進むようになっています。

これらの開発では、シチュエーションは異なっても、「タスクの提示とクリアを繰り返し、順繰りにシナリオが進む」という点は共通しています。そのため、タスクの提示とクリア判定という共通部分をテンプレート化し、メンテナンスや消火など異なるシナリオでも再利用できるよう設計しました。これにより、今後の案件でも効率的な開発が可能になります。

またこれまで計測や画像処理などをメインで扱ってきたのに対し、スプレーペインティングの機能や消火器の噴射など、今まであまり得意としていなかったビジュアルエフェクトの実装も、技術習得を兼ねて自身で行い、開発の知識の幅を広げることができました。

XR/AR開発で大切にしている考え方

研究でもビジネスでも、表現方法がARでもVRでも、私が常に意識しているのは「技術ありきではなく、目的ありき」という考え方です。

「〇〇という技術があるから使う」のではなく、実現したい目的から逆算して技術を選ぶことが重要です。手段が目的化してしまわないよう、常に意識しています。目的が達成できれば、実績のある枯れた技術を選ぶことも最適解となり得ます。

だからこそ、選択肢を広げるために自身の技術の幅を広げ続けることも重要です。技術の進歩は速いため、より多くの引き出しを持つには最新動向のキャッチアップは欠かせません。そのため、新しい技術やデバイスが登場した際には、いち早く実際に触れて体験することで、技術への解像度を高めるよう心がけています。またSNSなどで話題の作品に触れる際も、見た目の印象だけでなく、その背後にある技術要素を分解し、自分の今後の案件に応用できないか考える習慣をつけています。さらに、個人開発で制作した作品は積極的に公開し、知見の共有や第三者からのフィードバックを得ることで、さらなる改善や新たな気づきにつなげています。

つまり、コト(課題・ミッション)とモノ(技術・デバイス)という両輪をバランスよく回していくことが重要だと考えています。

XR×AIが切り拓く未来

昨今、AI技術が注目を集めていますが、XR技術と組み合わせることで、その価値はさらに高まると考えています。では具体的に、この2つの技術はどのように関わり合い、現場の課題解決に貢献できるのでしょうか。

代表例として、利用者の質問に答えるチャットエージェントがあります。AIを用いてユーザーとの会話や質問への回答をバーチャルキャラクターに行わせています。弊社においてもSAPを操作できる「Minotaur」と名付けられたAIプロダクトがあり、このAIにチャットで指示することで、要求に応じたステータス表示や更新が行えます。


https://www.avaxiagroup.com/products/

また、個人の取り組みでも紹介したように、IoTや医療機器によるリアルタイムデータを用いた現実空間との同期は、ARを用いた作業支援において重要です。そこにAI技術を組み合わせることで、ただ情報を表示するだけでなく、データに基づいた予測やアラート、意思決定の支援が可能になります。

私が関与してきたAvaxia Asiaでの取り組みでも、すでにAI技術の恩恵を受けています。前述のメタバース開発では、アバター生成にAIを活用することで、写真から高品質なアバターを生成できるようになりました。またトレーニングVRにおいても、現在は事前に用意したシナリオに基づいた訓練を行っていますが、将来的には体験者個々人のスキルレベルに応じてシナリオや難易度をAIが柔軟に調整し、より効果的な訓練を実現できる可能性があります。

こうした技術の組み合わせは、実作業の現場にも応用できます。例えばエネルギー業界では、IoTセンサーで収集したリアルタイムデータをAIが解析して設備の異常を検知し、その情報をARグラスを装着した作業者の視界で異常が起きている機器の上に重ねて表示することで、迅速な点検を促すことができます。さらに、ARグラスやAIグラスに搭載されたカメラ・マイクで収集した作業映像や音声をAIで解析し、点検作業のログを自動生成したり、作業品質を評価したりといった活用も考えられます。

特に最近は、AIグラスやARグラスも注目されています。VRゴーグルのように視界をふさがないため、実世界での作業支援に向いており、グラス型の機器を使ったシステムの需要は増すと予想しています。

Avaxia Asiaで働いて感じること

最後に、Avaxia Asiaで働く中で感じたことについて少し触れたいと思います。

研究と民間企業での開発の大きな違いは、システムの完成度にあると感じています。研究の場合、手法の有用性を証明するために、実験の時にプログラムがまともに動けば良いケースも多々あります。一方、民間での開発の場合、システムの利用者が自分自身ではありません。つまり誰が使っても問題なく動作すること、長時間安定して動作させても問題が生じないようにするなど、コアな機能以外のところにも配慮して開発をする必要があります。
この点は大きく異なり、Avaxia Asiaに入社してからは、コードの安全性やメンテナンス性、再利用性を意識した開発を心がけるようになりました。共通化できる部分は積極的にテンプレート化し、特定プロジェクトでしか動かないような場当たり的なコーディングをしないよう意識しています。

一方で、これまでのキャリアで培ってきた「XRと計測や画像処理などの他の技術を組み合わせて各分野の問題を解決する」という視点やスキルは、XRを可視化の手段としてだけでなく、リアルタイムデータとの連携や意思決定支援など、現場の課題解決につなげる上で役に立つと考えています。今後も、技術の掛け合わせによりエネルギー業界をはじめとするさまざまな分野で、技術価値とビジネス価値の両方を提供していきたいと考えています。

XR推進プロジェクトにご興味がある方や、XR関連でお悩みの方は、ぜひ、弊社にお問い合わせください。
リンクはこちら https://avaxia-asia.co.jp/contact/

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